関節リウマチとは
リウマチという病名を聞かれたことがある方は多いと思います。現在は関節リウマチと言われますが、自分が医師になったばかりの頃は、まだ、慢性関節リウマチと言われ2002年に呼称が変更されました。本来なら自分の体を守るための免疫機構の異常により関節に炎症といわれる腫れ、熱感、発赤、疼痛が起こり、骨や軟骨が壊され関節の破壊・変形に至る全身の炎症性疾患です。
原因について
関節リウマチの原因は不明です。遺伝的要因と環境要因の両方が発症に関わっていると考えられております。環境要因には喫煙や歯周病などがあげられています。日本における有病率は0.6~1.0%で、高知県下には4000~7000人の患者がいると推察されます。男女比は1:3で40~50歳台での発症が多くなっています。また、最近では高齢で発症する人が増えてきています。
症状について
関節リウマチの症状は様々です。典型的には両手のこわばり、左右対称性の手や指の関節の痛みや腫れ、多発する関節の痛みなどですが、肘や膝だけにしか症状を自覚されないこともあります。手のしびれや足のしびれが実は関節リウマチからのことも。思い当たる症状があれば、ご相談ください。
関節リウマチは発症後早い時期に関節の破壊が進むことがわかっております。関節が壊れる前に適切な治療を行うことが推奨されております。そのため、早期に診断することの重要性が高まり、2010年から新たな分類基準が用いられるようになりました。この分類基準を用いるためには、少なくとも1つ以上の関節炎を確認する必要性があります。明らかに関節が腫れていればわかりますが、わかりにくい場合は超音波やMRIによる画像検査で関節炎の存在を確認します。また、関節炎を発症する病気はたくさんあります。関節炎=関節リウマチではないので、病気の経過や身体所見、血液検査、画像検査を行い鑑別診断していく必要があります。
治療について
関節リウマチに対する治療として、薬物療法や手術療法、リハビリテーションがあります。
薬物療法
薬物療法では、抗リウマチ薬に加えここ10数年の間に生物学的製剤やJAK阻害薬が登場し飛躍的に進歩しました。治療の目標も寛解と言われるほぼ症状がない状態まで改善することが可能となってきております。薬物療法を開始する前には、全身の評価や肝炎、結核感染の既往などのチェックが必要です。また定期検査にて、現在の薬物療法の治療効果を判定するとともに副作用の出現がないか確認していくことも重要です。医師とともに早期に副作用を発見することが大切になります。
手術療法
手術療法については薬物療法による治療効果が不十分な場合に考慮します。関節の疼痛緩和と関節可動域の改善目的に、滑膜切除術や人工関節、関節固定術など、また腱断裂に対しては、腱移行術や腱移植術などが行われます。しかし、昨今の薬物療法の進歩により手術が必要な方は減少していくことが予測されています。
リハビリテーション
リハビリテーションは薬物療法に平行して継続的に行うことで、関節の炎症や機能障害の進行を抑制する効果が期待されます。